Jun 16, 2014

放電についてまとめ(4)

「放電技術 基礎のきそ」 小林 春洋さん著から

現代の工業は、大量微細加工の力技と、大量生産を可能にする自動化技術に支えられているとよく分かる。

スパッタ装置

スパッタ装置は、放電プラズマの最大の工業的応用であり、放電プラズマを利用した金属薄膜製造装置、緻密な微細柱状構造の薄膜を生成できるので、経年変化温度変化の少ない電子素子を製造できる。物理的気相成長法(PVD)の一種。薄膜のソース(素材)となるターゲット陰極(カソード)、Artプラズマイオンを照射されてソース元素が飛び散り基板に付着する。

プラズマCVD

科学的気相堆積法(CVD)にプラズマの加速電子のエネルギーを用いて化学反応を促進させる方法。液晶パネルの薄膜TFTトランジスタとその絶縁膜の製造、太陽電池その他の製造に用いる。

ドライエッチング

プラズマ電子により反応ガス分子を励起し、活性度の高いラジカル分子としてそれを基板に接触させで基板を微細に削る(ドライエッチング)手法。LSI製造に用いる。

プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)

価格の安い液晶パネルに駆逐されてしまった表示装置の一種。原理はネオン管と類似、ネオンガスとキセノンガス雰囲気での放電で紫外線を発生させ、これをRGB蛍光体に当てて可視光三原色を発生させる、ただしそれぞれを超小型化して平面に並べたものである。透明電極と微細加工と高速制御回路の完成で実用化されたものである。

ガスレーザ

プラズマガスのイオン分子・原子は電子の励起状態から通常状態に復帰する時に、エネルギー準位にしたがった光を放出する。ここで励起原子が連続してあるという条件が整うと、放出光を次々と浴びる隣の原子が同位相で光を放出していく、したがって光が重ねあわせされるのでその強度は増していく、これがレーザー発光である。工学書ではこれを「増幅」というが、工学的な「増幅」の意味はこの例のように、ちょっと意味合いが違うのだ。「励起原子が連続してある」とは、光を放出できるエネルギー準位の高い原子が放出しない準位の低い原子より多い状態、反転分布という、とされている。この同位相の光を取り出すために、まず、二枚のミラーでプラズマをはさむ。ミラーの間で光を往復させると光の定在波ができる。定在波は、同位相の光であり強力な強さになる、片方のミラーの反射率が低いのて光が漏れだす、こけが取り出されたレーザー出力光である。
プラズマガスには、He-Ne(計測用),Ar(医療機器用), CO2(工業加工用、医療用), エキシマ(ArF, KrF, XeCl, XeF)(半導体製造用)などがある。さらに金属蒸気を利用したレーザーも研究されていいる。

ルビジウムRb原子発振器

アルカリ金属の一種ルビジウムの蒸気を用いた原子発振器、周波数精度は、10^-9 と高く、恒温槽付き水晶発信器より二桁良い。光ポンピングを利用して地磁気用の磁力計にもなる。

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